通信販売については、特定商取引に関する法律(特定商取引法)が規定しています。
以下、簡潔にご説明します。

通信販売

同法における通信販売とは、販売または役務を提供する事業を行っている者が、郵便、電話、ファクシミリ、その他の通信機器・情報処理機器等を利用する方法により、売買または役務提供契約の申し込みを受けて行う、商品・権利の販売・役務の提供のうち、電話勧誘販売に当たるものを除いたものです。
具体的には、例えば消費者が、新聞、雑誌、テレビ、ホームページ、チラシ、ダイレクトメール等を見て、郵便、電話、ファクシミリ、インターネット等で、購入等の申し込みを行うような場合です。
通信販売に関する規定は、一定の商品等についての取引のみが、対象となります。
また、基本的に、消費者を保護するための規定なので、申込者が営業のため、または営業として行う取引や、海外にいる人との契約、国や地方公共団体が行う販売・役務の提供、事業者がその従業員に対して行った販売・役務の提供等の場合には、適用されません。
ただし、消費者の場合は別途、消費者契約法による取消等は可能ですし(消費者契約のページをご覧ください)、仮に消費者でなくとも、民法上の詐欺や錯誤(勘違い)等に該当すれば、同法による取消や無効の主張も可能です。

<広告についての規制>
通信販売は、離れた者同士の取引なので、広告にどのように記載がされているかは、大変重要といえます。
そこで、後になってトラブルが生じないよう、 事業者には、様々な規制が課されています。
具体的には、事業者は、販売価格や役務の対価(送料が別の場合は送料も)、代金(対価)の支払時期・方法、商品等の移転時期、売買契約の申し込みの撤回または契約解除に関する事項、その他の詳細な事項を、原則として、広告に表示しなければなりません。
また、事業者は、販売や提供の条件について、広告をする際に、商品等の性能や内容、契約の申し込みの撤回や解除に関する事項等について、著しく事実と異なる表示や、実際のものより著しく優良であるとか、有利であると誤解させるような表示(誇大広告)は、してはなりません。
事業者は、主務大臣から、これらの広告の裏付けとなる、合理的な根拠を示す資料を、提出するよう求められることがあり、これを提出しないときは、誇大広告等にあたるものとみなされます。
また、事業者は、通信販売をする場合の商品等の提供条件について、相手方から請求があった場合等一定の場合を除き、相手方の承諾なしには、電子メールによる広告をしてはならず、承諾等を受けた後も、相手方からいらないと告げられれば、原則として、電子メールでの広告はできません。
そして、電子メール広告には、相手方が広告を受けない意思を表示するために必要な事項を、記載しなければなりません。

<その他、消費者を保護するための規定>
消費者が、商品等の提供を受ける前に、代金(対価)の全部または一部を払うこととする、前払式通信販売の場合には、事業者は、代金を受け取ったら、遅滞なく商品等を提供しない限り、申し込みを承諾するかどうか(承諾しないときは、すぐに返金する旨とその方法も)や、事業者の氏名(名称)・住所・電話番号、受領した金額、受領年月日その他の事項を、相手方に、遅滞なく書面等で通知しなければなりません。
これは、消費者を長く不安定な状態に置かないよう、保護する趣旨の規定です。

更に、事業者は、上記の広告の規制に違反したり、解除によって生じる返還義務等を拒否または不当に遅らせたり、客の意思に反して、通信販売契約を申し込ませようとしたり(例えば、インターネット通販で、あるボタンをクリックすると有料の申し込みになってしまうことを、簡単に分かるように表示していない場合や、申し込みをする際に、その内容を簡単に確認・訂正できるようにしていない場合等)したときは、消費者の利益が害される程度に応じて、主務大臣から、必要な措置をとられたり、業務の停止等を命じられたり、そのことを公表されたりすることがあります。

通信販売の購入者等は、事業者が、申し込みの撤回や解除等についての特約を、広告に表示していない限りは、商品等の移転を受けた日から8日以内であれば、申し込みの撤回や解除等ができます(ただし、既に商品の引き渡し・権利の移転がされているときは、その引き取り・返還に要する費用は、購入者の負担となります)。

また、本法には、不当な行為についての、適格消費者団体による、差し止め等の請求権(事業者に対し、不当な勧誘等を停止・予防することや、そのために必要な措置をとること等を請求する権利)の規定も、用意されています。

通信販売は、一般的には、事前に実物を見ないで取引される形態でもあり、急いで契約せず、よく検討をすることが大切です。

通信販売の問題についても、お気軽にご相談ください。