お金が必要だけれど、親族や知人から借りるのは気が引ける、あるいは貸してくれる人がいないという場合に、容易に思いつくのが貸金業者かと思います。

過払い金

しかしながら、貸金業者からお金を借り始めて、その後色々な所から借りて返して、また借りて・・・ということを繰り返していると、次第に返すのが大変になっていき、最後には返せなくなってしまうことがあります。
これは、業者の設定する利息の率(利率)が高いため、返しても返しても利息分が減るだけで元本がなかなか減らない上に、色々な所からも借りて、雪だるま式に総額がどんどん大きくなっていくのです。
こうなってしまうと、日々借金の支払に追われ、いわゆる自転車操業のようになり、最後には生活が破たんしてしまうことになります。
その間の、精神的なストレスも、相当なものだと思います。

ところが、業者と長年貸し借りを続けてきた人の場合には、逆に、業者に対する過払金の発生している可能性があります。
過払金というのは、文字通り「払い過ぎたお金」のことです。
なぜ、このようなお金が発生するのかというと、利息制限法という、お金を貸す場合の、利息の上限について定めた法律があるからです。
今では、貸金業者との取引は、基本的にこの法律の利率に従って計算し直すことになっているので(引き直し計算)、その結果、過払金が発生している場合には、業者に対して、「払い過ぎだから返してほしい」と言えるのです。

過払金が発生するかどうかは、どの程度の頻度で貸し借りをしていたかにもよりますが(たとえば、借りる一方でほとんど返していなかったというような場合は、過払にはなりません)、最近ではなく、結構な昔から取引を行っていた人の場合は、過払になっている可能性がありますので、一度計算をしてみることが大切です。
人によっては、過払金がたくさんあることが分かり、借金が減って破産をしなくてもよくなった上に、手元にお金まで戻ってきたという人もいます。

貸金業者は近年、この過払金の返還請求が相次いだため、利率を下げており、今では利息制限法の範囲内の利率になっているのが大半です(ヤミ金は除く)。
しかしながら、それまでに高利で貸していた事実は消えないので、過去の過払金については、なお請求ができることになります(ただし、最後の取引から10年を経過していると、時効の主張をされて、返してもらえません)。
したがって、この点からも、やはり諦めずに、一度計算をしてみるのがよいと思われます。

過払金の返還請求をすると、ブラックリストに登録される等の不利益を受けると考える人もいます。
しかしながら、ブラックリストは、名前は物騒ですが、以後ローンを組む等の際に、不利に判断されることがあるというものにすぎず、それ以外に、例えば怖い目に遭うということは、ありません。
業者から、借金を払えと激しく催促をされている場合でも、弁護士から業者に対して、依頼者から事件を任されましたという通知(受任通知)を送れば、催促は止まるのが普通です。

過払金があるかどうかや、いくらぐらいあるのかは、利息制限法の利率に基づいて、引き直し計算をすることによって分かります。
この際に、取引の契約書や、貸し借りの日付や金額等の分かる書類があれば、計算の助けとなります。
仮にこれらがなくても、貸金業者に対して、取引履歴を渡すように求めれば、業者は原則として、これを拒むことはできないとされていますので、このようにして、取引履歴も入手します。

これらに基づいて、引き直し計算をし、過払金のあることが分かったら、あとは返還請求です。
交渉をしても業者が拒む場合には(近年は、過払金の返還ラッシュで収益が悪化しているためか、ほとんどの業者が、渋い態度であるのが実情です)、訴訟を起こします。
その中で、和解をしたり判決をもらったりして、場合によってはその後更に、貸金業者の預金や、その他の財産を差し押さえる等の強制執行も行い、回収をしていくことになります。

過払金の問題についても、お気軽にご相談ください。