本件は、最高裁平成23年7月7日、8日判決ですが、借主が、貸金業者Aとの間で、金銭消費貸借契約を締結して、以後、継続的に取引をし、その後、AからBに、貸金債権等の資産の一括譲渡がなされ、その後に、借主が改めてBとの間で、継続的に金銭消費貸借取引をした事案で、借主はBに対して、Aとの取引によって生じた過払金の返還請求ができるかどうか、についての判例です。

結論からいえば、本件では、AB間の契約で、「借主とAとの取引による過払金返還債務は、承継しない」と定めていたため、この債務はBに承継せず、Bは支払義務を負わない、とされました。

Aとの取引で生じた権利は、原則としてAに請求すべきである、との原則論を確認した判決といえますが、Aが廃業をしてしまっているような場合には、酷なようにも思われますね。

そのような事にならないためには、すみやかに自己の取引について、過払金がないかをチェックし、あれば直ちに、業者へ返還請求をする必要がある、といえるでしょう。