監護権は、父母の、未成年者に対する、監護の権利義務(「権」とはいうものの、義務も含みます)であり、民法820条以下に、その定めがあります。
以下、簡潔にご説明します。

<監護権の内容>
上記の条文は、「親権の効力」として、規定されています。
すなわち、監護権は、通常は、親権の中に含まれています。
したがって、父母の婚姻中は、親権者である父母が、共同して監護権も行うのが通常です(父母の一方が、親権を行うことができない時は、他の一方が行います)。
その内容として、民法上は、例えば以下のような定めがあります。
・子は、親権者が指定した場所に、その居所を定めなければならない(居所指定権。821条)。
・親権者は、監護・教育に必要な範囲内で、その子を懲戒することができる(懲戒権。822条)。
・子は、親権者の許可を得なければ、職業を営むことができない(職業許可権。823条)。

要するに、監護権とは、現実に子の世話や教育等をする、父または母の権利・義務ということになります。

<離婚の場合>
父母が、協議や調停、訴訟等によって、離婚をすることになった時は、子の監護をすべき人や、その他の、子の監護について必要な事項も、定められます(766条、771条)。
協議や調停の場合は、話し合いで決まりますが、訴訟の場合には、裁判官が、それまでの監護状況や、父母・子の意向、子の利益等、諸事情を考慮した上で、監護権者等を決定します。
親権者・監護権者は、離婚の成立まで、実際に子の養育・監護を主に行っていた側に決定されることが多いほか、親権者と監護権者も、通常は一致します。
ただ、協議の場合は、親権者と監護権者とが、別々に定められるケースも、時々あります。
この場合、監護権は、上記の通り、居所指定権も含みますので、通常は、監護権者が、子と一緒に住んで、生活をすることになります。

<監護権者の変更>
離婚後に期間が経過してから、監護権者について、それまでとは別の一方に変更したいというような場合も、まずは父母の協議によることとなり、それがうまくできない時は、家庭裁判所に、監護者の指定調停を申し立てることができます。
申し立ての用紙は、家庭裁判所の窓口や、裁判所のホームページ等で、用意されています。
調停は、相手方も、指定された期日に裁判所へ来れば、調停委員が、双方当事者の話を交互に聴いて、話し合いがなるべくまとまるよう、進めてくれます。
話し合いがまとまらず、調停が不成立になった場合には、自動的に審判手続が開始され、裁判官が、当事者の主張や、提出された証拠、その他一切の事情を考慮して、審判をします。
これにより、結論が出されます。
なお、監護者の指定調停は、離婚した夫婦の間のみならず、別居中の夫婦の間で、行う事も可能です。

監護権の問題についても、お気軽にご相談ください。