放火罪は、文字通り、火を放って、人命や財産を損なう罪です。
 刑法108条以下に規定されています。
 火を放つ客体(対象)の違いによって、現住建造物等放火罪、非現住建造物等放火罪、建造物等以外放火罪、延焼罪等に分かれています。

 現住建造物等放火罪、すなわち、現に人が住居に使用している、あるいは現に人が中にいる建造物、汽車、電車等に火を放ち、焼損させた場合、死刑か、無期もしくは5年以上の懲役に処せられます。
 これは、殺人罪の法定刑と同じで、起訴されれば、裁判員裁判となります。
 必ずしも人が死んでいない場合も含めて、この法定刑であることを考えると、刑法はこの犯罪を大変重くみていることが分かります。
 要は、火はひとたび燃えると、それだけで完結するとは限らず、隣接する住宅等にすばやく燃え広がり、被害が甚大になってしまう危険性があるので、それだけ強く規制する必要があるためといえます。

 放火行為は、火を放つ行為自体はもちろんですが、既に火の付いているようなところへ、油を注ぐ行為も、放火と言い得る場合があります。

 放火行為の後、上記の通り、焼損に至れば、既遂となります。
 「焼損」とは、何をさすのかが問題となりますが、例えば、家屋の一部である3畳間の、床板約30cm四方と、押入床板・上段各約90cm四方について、媒介物を離れて火が燃え移り、独立して燃焼する程度に達した事案について、焼損があったとして、放火罪の既遂を認めており(最高裁判所昭和25年5月25日判決)、このような程度に至れば、「焼損」に当たるものといえます(ただし、近年は、木造ばかりではなく、鉄筋コンクリート等の、燃えにくい建物もあるので、必ずしも上記の基準が、形式的に当てはまるわけではありません)。

 放火の犯人の動機の中には、「むしゃくしゃしていたから」というものも見かけます。
 しかしながら、放火はそのような理由で行うにはとても見合わない、刑の重い、そして危ない犯罪です。