DVとは、ドメスティック・バイオレンスのことで、夫婦等の一方が、他方に殴る・蹴る等の暴力(言葉の暴力を含む)を振るうことをいいます。
いわゆるDV防止法は、正式には、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」です。
以下、簡潔にご説明をします。
まず、「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの、身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃で、生命・身体に危害を及ぼすもの)や、これに準ずる、心身に有害な影響を及ぼす言動をいいます。
配偶者からの暴力等を受けた後に、その人が離婚をした等の場合には、その配偶者であった人から引き続き受ける、身体に対する暴力等も含まれます。
「配偶者」には、婚姻の届出をしていなくても、事実上婚姻関係と同様の事情にある人を含みます。
また、「離婚」についても、婚姻の届出をしていなくても、事実上婚姻関係と同様の事情にあった人が、事実上離婚したのと同様の事情に入る場合も、含まれます。
<警察による措置>
警察官は、被害者が、配偶者から暴力を受けていると認めるときは、暴力の制止や、被害者の保護、その他被害の発生を防止するために必要な措置を講ずるよう、努めなければなりません。
そして、警察署長等は、配偶者からの暴力を受けている者から、防止のための援助を受けたいとの申し出を受け、相当と認めるときは、必要な援助を行うものとされています。
したがって、被害を受けたら、まず警察に行くことが必須といえます。
その際、暴力を受けていたことを示す証拠があると、望ましいでしょう。
<裁判所の保護命令>
配偶者から、身体に対する暴力や、生命等に対する脅迫(被害者の生命・身体に対し、害を加える旨を告知してする脅迫)を受けた被害者は、配偶者等からの更なる身体に対する暴力により、その生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときは、以下の保護命令を出すよう、裁判所に申し立てることができます。
すなわち、数か月間、配偶者が、被害者の住居等につきまとったり、勤務先等の付近をうろついたり、面会の要求や、監視をしていると思わせるような事項を告げたり、著しく粗野または乱暴な言動をしたり、無言電話や、連続の電話・ファックス・電子メールを送信したりすることを、禁止する等の命令です。
また、未成年の子や親族等の身辺につきまとったり、住居・学校・勤務先等、その通常所在する場所付近をうろついたりすることの禁止も、命じてもらえることがあります。
保護命令は、原則として、口頭弁論か、相手方が立ち会える審尋の期日(相手方の意見・言い分も聴く手続)を経なければ、発することができませんが、これによって、保護命令の申し立ての目的を達することができないような事情のある時は、不要とされています。
保護命令が発せられると、裁判所から、相手方のほか、警視総監または警察本部長に、その通知がなされます。
相手方は、保護命令に違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。
DVは、相手の行為がエスカレートしていくおそれがあり、時に重大な事件の発生しかねない問題ですので、「自分さえ我慢をしていればよい」等と考えず、早めに対処をすることが、肝要です。
DVの問題についても、お気軽にご相談ください。